中年からの語学学習法 英語以外の未知の言語にどう取り組むべきか

番外編・私のタイ語習得奮闘記


<第2、第3外国語を身につけてバイリンガルを超える「マルチリンガル」になろう!! >

語学劣等生が、未知の言語を3ヶ月で一通り使えるようになった理由


語学習得は「習うより慣れろ」といいますが、本当にその通りと思います。

私が英語の習得で、劣等生ながらも相当苦労して何とか意思疎通ができるようになった
のは、別ページでお話ししたとおりですが、新たな試練がやってきました。

私は98年にタイの政府系機関への出向を命ぜられ英語はともかく全く初めての言語
であるタイ語の習得を迫られました。

それまで、旅行でもアジア圏に行ったことはほとんど無く、格安チケットでイタリアに
行く際に、トランジットで香港の空港に3時間いたことがある程度でした。もちろん
アジア系の言語には興味すら無かった状態でした。

出向先は大学院大学で、当時の政権の政策立案もやっており、同僚はほぼ全員が
欧米留学組だったので皆英語が普通に話せました。しかし、そうは言ってもタイ人が
集まれば母国語での会話になり、日本人の私のような外国人が一人だけ混じっても
会議などの言語はタイ語になります。

したがって、必然的にタイ語の習得が必要となり、タイ語学校に通うことになりました。
私の通ったタイ語学校は、各国の企業からの派遣の語学研修生が多くを占め、その他
に個人で留学している人がちらほら。授業は会話を中心に進められていきます。

文法も勉強しますが、基本的には会話が先で、文法は会話文のフレーズを解説する
程度しかかやりませんでした。



実際、タイ語という言語には「時制」がなく、同じ文章の文末に「昨日」をつければ過去を
表す文、「明日」をつければ未来を表す文となります。簡単な文法に対して、発音は
極めて難しく声調と呼ばれるイントネーションが5声(種類)あって、これを正確に発音
できないとまず理解してもらえません。

観光客相手の地域ではカタカナ発音でも通じますが、一歩普通のタイ人生活エリアに
足を踏み出すと英語は全く通ぜず、タイ語も発音をある程度正確に出来ないと、物も買え
ません。

私の出向先でも教授の皆さんは英語ができても、食堂や屋台の人たちは普通のタイ人
でしたので、当初は全く意思疎通が出来ず身振り手振りで何とか食事にありつく、という
感じでした。

そして、タイ語学習法をいろいろな人から聞いたところでは、発音を正確にするための
近道が文字を読めるようになることでした。

タイ文字はサンスクリット語系の表音文字で、子音が44文字、母音が9文字、それに
声調記号が4種類あり、これらの組み合わせで文字の読み方が決まります。文字と規則
を覚えて、それにしたがって発音するとほぼ通じます。

会話の練習といっても一通りしゃべれるまでには時間がかかりますから、最初にタイ文字
の構造を丸暗記してしまったほうが早い、と複数のタイ語の達人からアドバイスを
受けて、とりあえず1週間で子音と母音を全部暗記しました。

この期間はとにかくタイ文字のことだけ考えるようにして寝ても覚めてもブツブツ言いながら
何とか覚えこむように繰り返し、何とか完遂しました。

後になって考えてみると、これがとても良かったと思います。
知らない言語を覚えるのは、
まず規則と基本フレーズを機械的に丸暗記することと、ネイティブの知り合いを作ることが
早道だと思っていますが、まさにそれを日本語環境をシャットアウトした環境の中で行った
ので、ほぼ3ヶ月で日常生活レベルでは不自由がない程度に会話ができるようになりました。



文字の強制暗記の他にもうひとつ効果的だった方法があります。

それは、現地の歌謡曲で気に入った曲のCDを買い、歌詞を暗記して歌う、という方法です。
歌曲のCDを買うと大体は歌詞カードが付いてきます。もちろんアルファベット表記ではなく
タイ文字表記です。

これを「写経」のように書き写して、暗記して歌うのです。これはかなり効きました。
フレーズの暗記、声調の習得、文字の習得が同時に出来ました。

日本でもそうですが、歌は少し誇張された表現ではあるものの、話し言葉の塊です。
ですから、語学教科書に書いてある例文のような、日常生活では絶対に使わないような文章
ではなく、普通に人々が話している口語文なので、歌詞を暗記すると勉強語学ではなく
ネイティブの使っている言葉により近づくことができます。

これはどんな言語も共通だと思いますので、是非試していただければと思います。

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